【インタビュー】Mikromusic(ミクロミュージック)


Halo!

Paulaです☆
今日は昨年ポーランドでしてきたインタビューの第6弾をUPします♪
うっとりする美声の持ち主、Mikromusic(ミクロミュージック)Natalia Grosiak(ナタリア・グロシャク)とのインタビューを音楽と併せてお楽しみください。

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(c) Bartek Sadowski
昨年ナタリアは母になったわけだけど、家庭と仕事の両立は大変?

母になって私の生活は変わったわ。1年前に母になったんだけど、まだ1歳にもならない子どもがいると、時々家庭と仕事の両立は大変よ。前もって生活を組み立てておかないといけないわね。先日コンサートするのに娘を連れて行ったけど、疲れちゃったわ。残念だけど、哺乳瓶を覚えさせなければいけなかった。ツアーに連れて行くのは大変だったから。もう大きくなってきたし、バスで退屈しちゃうの。今は2、3日ツアーに出かけて、子どもは残していくわ。おかげでたまにはホテルでぐっすり眠れるの。


ミクロミュージックを始めたいきさつを教えて。

もうだいぶ前のことよ。私の年齢の半分ぐらいのとき、ブルースのワークショップでダヴィド・コルバチィンスキと知り合ったの。最初はただ同じ音楽を聴いて、会ったり、いろんな曲を演奏したりしていて、さらに他のミュージシャンも招いてだんだんとバンドになっていった。リハをやりながら一緒に演奏する練習をしたわ。1週間のうちに本当にたくさんリハをしていたの。知り合ってから1stアルバムを録音するまで数年が経ったわ。1stアルバムは、ばんどのベーシスト、ロベルト・シドゥウォがプロデュースしたのよ。その後はアルバムを出すごとに、私たちの能力も上がってきてることが感じられたわ。最新アルバムはダヴィドが1人でプロデュースしたの。


1stアルバムからどのように成長してきたの?

すごく大きく変化してきたわ。私の歌い方も違うし、即興の仕方も違うし、音楽についての私たちの考えも変わった。昔は、“多ければ多いほど良い”と考えていたけど、今は足すより引くというルールを学んだわ。曲作りについても演奏についてもより多くの経験をつんだし。個人的には、1stアルバムから本当に大きく変わったと思う。


MIKROMUSIC Takiego chłopaka from mikromusic on Vimeo.

もう長いキャリアがあるけど、未来に向けての計画ってある?

音楽に関していえば、何も計画することなんてできないの。キャリアや起こりうる問題については、計画できないのよ。最近のシングル「Takiego Chłopaka(そんな彼氏)」がいい例よ。大ヒットになったけど、誰もそれを予測していなかったの。他の曲がヒットするんじゃないかって希望を持っていたから、それらの曲じゃなくて「そんな彼氏」のヒットにはみんな驚いたのよ。ツアーの予定だって、計画通りにはいかないわ。市場は予測不可能だから、キャリアの計画なんてものは無いの。


音楽の制作過程はどんな感じ?

ダヴィドの家で一緒に即興しながら、曲を構築したり、アイデアを集めたりしている。今はそういうやり方をしていて、それが一番うまくいくのよね。ダヴィドがすべて積み木のように積み上げて、アレンジしてくれるの。曲ができると私が歌詞を書く。時々、歌詞が先にできていて、それに合わせた曲を作ることがあるけれど、たいていは音楽が先ね。時には私が曲を作ってダヴィドに送り、彼がアレンジしてくれたりするわ。


MIKROMUSIC Sopot from mikromusic on Vimeo.

PVは自分たちで作っているの?「Sopot(ソポト)」のPVはとても素敵ね。

そうよ。「Sopot(ソポト)」のPVに関していえば、私は他の人に制作してほしかったけど、予算が足りなかったの。もういくつかPVを制作したことがあったから、今回も自分で“最高の”PVを100ズロチ(約3000円)で作ることに決めたのよ。笑 ストーリーは、2人の男友達がソポト行きの電車に乗り遅れて、ヒッチハイクで行くことに決めたんだけれど、結局ソポトまで行けなくてヴロツワフ郊外のフションスタヴァ・ヴィェルカにたどり着くって設定。人生はいつも思い通りにいくわけではないけど、だからって人生終わりってわけじゃないっていう結論を物語っているの。思い通りにいかなくても、良いことだってあるってね。

いいね。私にとっては、このPVはすごくポーランドの風景って感じがして、大好き。

とても嬉しいわ!私の知り合いの多くは気に入らないみたいでね。歌のタイトルにもなっている街がPVに出てこないなんてってがっかりしているの。PVは歌詞どおりであるべきではないと私は考えているから、なおさら「ソポト」のPVのコンセプトを支持するわ。


「Zostań Tak(ここにいて)」のPVはドモヴェ・メロディエのユホが監督しているけど、どうやって実現したの?

ユホとは数年前から友達よ。でも最初はカメラマンとして彼女を知っていたの。ユホはとても才能のあるカメラマンで、とびきり美しい映像も撮るのよ。概して多才な女性なの。だから、ユホにポルトガルでPVを撮影してくれるように頼んだ。ユホがポルトガルに出来たばかりのドモヴェ・メロディエのCDを持ってきてくれたことを覚えている。ドモヴェ・メロディエがこんなに大成功するなんて、その時は誰も考えてなかったわ。だから、先日ユホが私たちに会いにトルンでのライブに来てくれたとき、あのPV撮影から1年が経って私たち全然違う立場にいるねって笑っていたの。ユホはポーランド中をツアーして、満員のホールでライブしているのよ。ドモヴェ・メロディエは今ポーランドでもっともライブしているグループの1つ。彼らの音楽はリアルなの。そしてドモヴェ・メロディエの人気は、何らか物語を伝えてくれるようなリアルな曲を人々が欲している証拠。ユホはまさにそれを人々に与えたのよ。リスナーはドモヴェ・メロディエに夢中だし、それは当たり前のことだと私は思うわ。


MIKROMUSIC Zostań tak from mikromusic on Vimeo.


ミクロミュージックの音楽はとても気持ちがよくて、歌詞も素晴らしいよね。貴方は音楽の中で声で遊んでいるみたい。どうやってそんな美しく歌えるの?

それは喜びね。誰もが何かしらに対して情熱を持っているでしょ。シェフが料理するのを愛していれば、そのシェフが作ったものを食べた人はおいしく感じるでしょう。私は、これが私の情熱だから歌うのよ。この情熱とともに私は生まれて、幼い頃から練習してきたの。音楽や歌なしで生きていくことはできるでしょうけれど、それって人生から40,50%の喜びを奪われたようなものよ。


まさにその喜びを歌の中に感じるよ。

それにね、とても感情的な歌を歌っているときは、その感情を再現しているわ。まるで浄化みたいなのよ。あることを思い出し、かつて経験したことについて感情的に理解を深める。そして人々にそれを還元するの。コンサートは私にとってそんな浄化になることがよくあるわ。


最近、大きいレーベルに移籍しているよね。前のレーベルとは違う?

そうね。最初のアルバムはポルスキェ・ラジオのレーベルから出したのだけど、当時はレーベルにまったく満足できなかった。今思い返すと、そんなに悪くなかったんだけどね。2枚目は自分たちでリリースしたわ。自分たちの小さなレーベルを作ったの。全体的に悪くなかったんだけど、私にとってはすごく大変でとにかくストレスも多かった。5枚目のアルバムを制作するとなったとき、もう体力の限界だったので、そろそろどこか大きいところに頼む決断をしたわ。その選択は後悔してないの。難しいことをやってくれる人がいるから、私はとても満足よ。それに私たちの音楽もより多くの人に届けられるしね。


確かに最新アルバム「Piękny Koniec(美しい終焉)」は大成功を収めているよね。どんな影響があった?

単に、仕事がもっと増えたってことね!笑


それは嬉しいね!笑

もちろん、いいことよ!よりたくさんライブができて、仕事も増えて、影響はとても素晴らしいわ。


「Piękny Koniec(美しい終焉)」の制作時はどんな思いがあったの?このタイトルを選んだ理由は?

タイトルを考えたのは私。バンドはそれに納得してくれたわ。まずは歌詞ね。これはとても真面目なアルバムなの。一番頻繁に考えるのは死についてなの。生まれる前や死後に何があるのか、よく考えているの。私は無宗教で神を信じていない。だから余計に、私は何者なのか、どこから来たのか、そして終わりはどこなのか、という考えで私の脳みそはいっぱいなの。本当に頻繁に、私たちは何者なのか、どこにいるのか、宇宙とは何なのか、宇宙の終わりはどこなのか、考えているわ。私の頭では宇宙のどこに終わりがあるのか分からない、けど、終わりがあるとしたら、その向こうには何があるのかしら?終わりがあるなら、何かが始まるということでしょ?そのようなことを今回歌っているのよ。一方で、アルバム制作の終盤で、自分が妊娠していることが分かったの。それだって人生のある一章の終わりを意味するんじゃないかと思った。プロデュースのやり方を変えたから、今回のアルバムはこれまでのアルバムとまったく違うのよ。それでこう思ったの。私たちは何かを終えるけど、それは永遠に終わってしまうということじゃなくて、何か新しいことが始まるのだから、この終わりは美しいんだって。私たちは人生のうちの素晴らしい1つの区切りを終えて、これからまだ何も知らない新しい一章が始まるのよ。


じゃあもう次のアルバムが待ちきれないね!

まだ次のアルバムは作り始めてないけど、そろそろ始めるわ。


MIKROMUSIC Za mało from mikromusic on Vimeo.


歌詞について教えて。「Za Mało(少なすぎる)」という曲は資本主義について歌われると感じたんだけど。

そうね。資本主義よりも消費主義についてね。そして私たち人間がこの惑星上で最悪の生き物だってことについて。今世界で起こっていることは恐ろしいわ。私たちは日々数えきれないほどの動物たちをひどく利用している、究極の捕食者だわ。それなのに、私たちにとっては絶えずものが足りないの。そのことが本当に恐ろしくて、今でもこうして話していると、自分の無力さに涙が出るわ。私たちは残酷でひどい存在、そのことを歌っている曲なの。それについてどうすることもできないから、ひたすら悲しい歌なのよ。唯一私にできることは、自分の周りを変えること。お肉は食べないし、牛乳も飲まないようにしている。革製品は買わないし、エコに生活するように心がけているわ。でも私がしていることだって小さすぎるって分かっているの。だから、私の考えをもっと届けられるように、このテーマについて歌っているわ。


「Jestem Super(私は最高)」は誰に向けた歌なの?

私たちみんなよ、自分も含めてね!笑 私たちはみんな鮮やかな雑誌に出てくる人みたいにかっこよくなりたいよね。永遠に若く、鍛えられていて、教養がある人でいたい・・・でもそれって必ず何かを犠牲にしているもの。自分は大事にしなければいけないけど、とにかく生きるということも大事にすべきだと思うわ。


あなたの歌詞を読んでいると、ある距離をもって世界を見ている感じがするな。

そう努力しているの。そうしていないと狂っちゃうと思うから。


「Sopot(ソポト)」に出てくる“赤い色”はどんな性格を意味しているの?

赤?笑 そうね、赤の性格は快活よ。この曲の中で歌っている、とある人のことが私は大好きなの。私の女友達で、最高の人よ。全くのADHDだけどね。ソポトに住んでいて、よく訪ねるのよ。


「Pod Włos(髪の生え際)」がアルバムの中で一番好きだな!

ヴロツワフについての歌よ。以前、ヴロツワフの歌コンテストがあったの。ダヴィドに「何かコンテスト用に曲書こうよ」って言われて、「でも私には、“ヴロツワフよ、愛してる”なんて曲書けないわ」って言ったわ。とても批判的な歌詞を書かなくちゃならなくなったでしょうね。だから、自分の理想的ではない愛について書いたの。自分が住んでいて、責任を持たなければいけない家についてね。今その曲のPVを撮影しているのよ。私たちのファンに参加してもらう、とても複雑なPVになるわ。毎週ヴロツワフに住む誰かの家を訪ねて、ヴロツワフ市民を撮影しているの。もう30人撮って、あと20人。3週間前から始めたけど、まだまだこの先仕事がたくさんあるわ。


あなたのお気に入りの歌は?

「Śmierć Pięknych Saren(美しい鹿の死)」よ。


好きなアーティストはいる?

去年はたくさんアパラットというバンドを聴いていたわ。その繊細さや、私が1stアルバムでしていたようなエモーショナルな歌をとても身近に感じるのは、ゴールドフラップのアルバム「Felt Mountain」。私はエモーショナルな歌がとても好きなの。前はとてもビョークが好きで、よくポーランドではポーランドのビョークって言われていたわ。私にとっては、とても感情がこめられた音楽が大事。そういうものをアーティストに求めているけど、なかなか多くはないわね…。




国外でも活動したいと思う?

難しいテーマね。私は旅をするのが好きだから、世界中を回って歌いたいと強く思うわ。私たちの音楽がより遠くまで届くといいなと思うけど、ミクロミュージックみたいなバンドは興味深い何かが必要だと思う。民族音楽は国外でもとても受けているけど、ポーランド語で歌い、最近はジャジーなロックを演奏している、私たちみたいなバンドが国外で興味をもたれるか分からないわ。誰がコンサートに来てくれるか想像もつかないわ。世界のあちこちに少しファンがいるから、そういう稀な人たちかな。楽器を持って行かなければいけないし、コストもかかるし、旅行も結構大変。だから、今のところは国外での活動のチャンスは無いわ。7人分の旅費やギャラを払ってくれるところは無いでしょうね。だから、とても意欲はあるけど、どうやって実現したらいいか分からないわ。


日本に来ることがあったら、何がしたいと思う?

妹と一緒に3、4週間日本旅行をしたいって計画があるの。妹は日本にたくさん友達や知り合いがいるから。絶対「次郎」で寿司を食べたいわ!笑 でも半年前に予約しなければいけないのよね?それから、日本は地方によってさまざまな料理があるみたいだから、あちこちで日本料理を食べたいな。出来るかぎり日本を楽しみ尽くしたい。コンサートももちろん喜んでやりたいわ!


無人島に3枚CDを持って行くとしたら?

私の一番好きなアルバムの1つ、ゴールドフラップの「Felt Mountain」と、マイルス・デイヴィスの「Kind Of Blues」。あとエドヴァルド・グリーグのアルバムをどれか1枚ね。



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ありがとうございました!!












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